「発がん性が指摘されるPFAS(有機フッ素化合物)と異なり歯科でフッ素塗布用に使用する無機フッ素化合物は安全です」
新聞・TV・ネットニュースで話題になっている愛知県豊山町の豊山配水場で検出された(現在は配水停止中)発がん性が指摘されるPFAS(有機フッ素化合物)と歯科でフッ素塗布用に使用する無機フッ素化合物は根本的に異なります。
PFAS(有機フッ素化合物)とは、天然にはほとんど存在しない物質で、人工的に作り出される化合物であり、泡消火剤等に利用されてきました。しかし、このPFAS(有機フッ素化合物)が人体、動物、環境(土壌・地下水・河川)に対して有害性や汚染があることが明らかとなり現在、テレビやネットニュース、新聞で取り上げられています。
一方、むし歯予防のために使用するものは無機フッ素化合物であり、人工的に合成された有機フッ素化合物(PFAS)とは全く異なる物質です。国際純正・応用化学連盟(IUPAC)の勧告によって「フッ素」は元素名であり、水や食品中の無機のフッ素は「フッ化物(fluoride)」と定められています。WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機関)は、1974年に「ヒトの栄養所要量の手引」を発行し、フッ化物を必須栄養素として位置づけています。必要とされるフッ化物は微量だが、からだのとくに歯や骨をつくる石灰化には欠かせない物質であり、すでに欧米では長年にわたり必要な栄養素として、所要量が策定されています。
フッ化物配合歯磨剤のむし歯予防のメカニズムは、エナメル質、特に初期むし歯病巣へのフッ化物沈着による再石灰化の促進と、歯垢中へのフッ化物の蓄積です。歯垢中のフッ化物は、抗菌作用の他に、フッ化物の蓄えとして機能し、むし歯侵襲時に脱灰の抑制とともに再石灰化の促進に寄与します。歯科で行うフッ化物歯面塗布とはフッ化物溶液を直接歯に塗布するもので、歯科医師や歯科衛生士など専門家が医療の一環として行うむし歯予防です。
愛知県歯科医師会会員の診療所では歯科で使用するフッ化物は適正な量を守って患者様に使用しています。